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本【祖母姫、ロンドンへ行く!】エッセイを読んで旅をする

好きなもの

久しぶりにエッセイを読みました。椹野 道流さんの「祖母姫、ロンドンへ行く!」です。

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祖母姫、ロンドンへ行く! [ 椹野 道流 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2023/10/7時点)


著者の椹野道流さんは元監察医(現在も専門学校で講師をされているそう)の作家さん。「奇談シリーズ」「メス花シリーズ」「ローウェル骨董店の事件簿シリーズ」「最後の晩ごはんシリーズ」など多くの小説を出版されています。

祖母姫、ロンドンへ行く!はWEBで連載されている、自己肯定感にまつわるエッセイをベースに書き下ろしを加えた、椹野さん初の本格エッセイです。
気高く自由なお姫様のような祖母と、祖母姫様に振り回される孫秘書・椹野さんがロンドンで過ごす時間は表紙のスコーンのようにほっこり。ドキドキ、ヒヤッとする場面もありますが、ホスピタリティとやさしさに溢れたエピソードがいっぱいで読み終えた後は、ほわ~っとあたたかい気持ちになりました。

伝統的な英国らしい空気を味わえて、とても読みやすく楽しい1冊です。特にロンドンを旅したことがある方にはぜひ読んでみたいただきたい(*´ω`)
年をとってからの海外旅行を考えている方、年を重ねていく親や自分自身との付き合い方に迷っている方にも響くものがあると思います。素敵で楽しいエッセイでした。

椹野さんの「最後の晩ごはんシリーズ」↓↓タイトルが美味しそう


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旅エッセイを読んで自分も旅をする

祖母姫、ロンドンに行く!」は旅のきっかけ、日本を出発するところから始まります。
お正月に集まった親族の中で語学留学でロンドンに滞在していた時の思い出話をしたことが発端となり、椹野さんは80歳を超えた祖母姫様と5泊7日のロンドン旅行をすることになります。

当時の祖母姫様と椹野さんは40~30歳ほどの歳の差でしょうか?ちょうど、くろありとくろあり祖母と似た感じ(´・ω・)気付くと自分の身に置き換えて読んでいました。

だって、今の自分がひとりで祖母を連れて海外旅行へ行くなんて!!とんでもない!不安しかない(笑)
1泊2日の国内旅行ならまだしも1週間近い海外旅行など、とてもじゃないが請け負えるとは思えません。自分と祖母だったら…と想像するだけでドキドキします。

行きの飛行機の中でCAさんからホスピタリティ講義を受け、なんとか無事にロンドンへ到着してからは高級ホテルに宿泊しながら祖母姫様の「お姫様のような旅がしてみたい」を叶えるために秘書孫として大奮闘する椹野さん。身支度や日常生活のサポートから、ロンドンを代表する観光スポットを巡り、お買い物をして、アート鑑賞にアフタヌーンティー…と、英国を隅々まで堪能できるように駆け回ります。

きっと、旅行中の秘書孫はとーーーっても大変な思いされていたことでしょうが…(^^;)ドタバタとロンドンを堪能する日々はとっても楽しそうで、とても5泊7日とは思えないほど濃厚。
15年程前にロンドンを旅行した時のことを思い出して、くろありも一緒に旅行をしているような楽しい気分になりました。

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くろありのロンドン旅行

くろありがロンドンを旅行したのは学生の頃、ちょうどハタチ前後の頃だったと思います。学校が主催する研修旅行という名のロンドンとパリを巡る旅でした。研修旅行という名の社員旅行のようなもので、ほぼほぼ学生の観光旅行。安ホテルに泊まりながら、観光をして美術館とマーケットをひたすら巡り、目の保養とお買い物をした旅行でした。

貧乏旅行だったため食事の優先度は限りなく低く、宿泊先のホテルで食べられる簡素な朝食でカロリーを確保。薄っぺらいトーストとベイクドビーンズ、お紅茶でイギリスらしさを補っていました。
カフェやレストランは利用せず、その辺のスーパーで適当に購入するサンドイッチやパン、サラダなんかをホテルで食べていた記憶があります。祖母姫様のような食事やアフタヌーンティーなんて夢のまた夢…フィッシュアンドチップスがご馳走でした。

まともな英語も話せないため、単語とカタコトで道を聞き、地図と睨めっこしながらひたすら歩いて観光とウィンドウショッピング。見慣れない街並みに、すぐ止まる地下鉄。
無料なのに(貧乏旅行でしたが、心づけは入れました)とんでもなく大きな博物館や美術館には驚き。全く時間が足りていない旅行でしたが、色んな人がいて、ただ街を歩くだけのことがとても面白く感じました。

くろありが旅したロンドンには秘書孫のような素敵な旅の友はいませんでしたが、祖母姫様の旅が進んで行くのに合わせて、くろありが見たもの、祖母姫様と同じものを見たことを思い出してとても懐かしい気持ちになりました。

祖母姫様とロンドンで見つけたもの

旅行中の祖母姫様は高齢者らしく、わがままなお姫さまのようで、若い秘書孫の立場を想うと苦々しく思える部分もありますが(苦笑)くろありには気高く優雅でとっても魅力的なおばあちゃまでした。
先のことは考えたくないけれど、祖母姫様にはおそらく最期の海外旅行。思い残すことがないように…という思いがきっとあったと思います。

旅のひとときにも妥協せず最善を追求し、常に相手を尊敬し真摯に向き合う。旅先で接するホテルスタッフとのウィットに富んだやりとりも映画のようで、祖母姫様がうら若き乙女だったらラブのひとつも生まれてしまいそうだなと思いました。

そんな祖母姫様は旅の中でちょこちょこと金言ともいえるお言葉を秘書孫に下賜なさるのですが、それがまた自己肯定感の低い秘書孫の心をグサグサとえぐる容赦のないお言葉なんです。これはくろありにも同じように刺さるものがありました(^^;)
そのお言葉のどれもが、祖母姫様自身の経験と努力の積み重ねからできた自信から出てくるものばかりで、ぐうの音も出ないとはこのことだな…と(苦笑)
同時に、祖母姫様のように、自信を持って生きたい。歳をとった時にこんな風になれていたらいいな…と思いました。

日常生活の中では受け入れられないお小言も、旅の途中だと何故かすんなりと自分の中に落ちていくことがあります。その瞬間は聞き流したことも後から思い返して気づいたら、ジワジワと自分の中に染みこんでいることも。
祖母姫様の金言は秘書孫に、くろありに、このエッセイを読んだ方の中に小さな小さな金の積み木になって積みあがっていくような気がしました。

こんな方に読んでもらいたい【祖母姫、ロンドンに行く!】

祖母姫、ロンドンへ行く!は、イギリス・ロンドンへ行ったことがある方はもちろん、行ってみたいと思っている方にはぜひ読んでみていただきたいエッセイです。高齢のご家族と同居されている方、ご両親との旅行を考えている方にもおすすめです。

祖母姫様と同じようなリッチな旅行は難しいかもしれませんが、イギリス・ロンドンの空気感がとても良く感じられます。一度でもロンドンやヨーロッパ圏を旅行されたことがある方には懐かしさが感じられ、まだ旅行したことのない方には英国への楽しい期待を膨らませてくれるエッセイです。

高齢のご家族やご両親などと同居生活をされている方には、思わず何度も頷きたくなるような秘書孫への親近感と共感が感じられると思います。日常の中の些細な感情の波風も旅の中では面白おかしく思え、くろありも自身の気持ちの持ちようを振り返るきっかけになりました。

両親たちとの家族旅行の予定はありませんが、祖母姫様と秘書孫が旅行中に体験する様々なシーンでのホスピタリティには、本当に頭が下がる思いでいっぱいになりました。
自分がいかに日常生活だけでいっぱいいっぱいになっているかということ、立場や年齢を越え、相手に敬意払って丁寧に接することの大事さ…つい忘れてしまいがちなことに気付かされました。

なんでもいい。コツコツと努力を積み重ねて自分に自信を持つこと、気持ちに余裕を持つことが大事だなぁ…と。

祖母姫様と秘書孫の5泊7日の旅行の中にはたくさんのものが詰まっています。ぜひ祖母姫、ロンドンへ行く!を読んで、この温かくてやさしい国へ祖母姫様と秘書孫と一緒に旅をしてみていただきたいです。

くろありも、また改めてロンドンへ旅行したいなと思いました。きっと昔のくろありとは全く違う世界を感じることができるから。
いつか…死ぬまでには(笑)祖母姫様のように上質なロンドンと、秘書孫のように庶民的でローカルなロンドンの両方を感じられる旅行ができるよう、まずはお仕事を頑張りたいと思います。

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